ワーキングメモリ(作業記憶)とは?記憶力との違いと、負荷を下げる工夫
公開: 2026-07-17|IQテスト.jp編集部
暗算の途中で数字を忘れてしまう、話を聞きながらメモを取ると内容が頭に入らない。こうした場面で働いているのが、ワーキングメモリ(作業記憶)です。
ワーキングメモリとは、情報を一時的に保持しながら、同時にその情報を使って作業する力のことです。この記事では、単なる記憶力との違い、日常での現れ方、負荷を下げる工夫、そしてトレーニングについての考え方を解説します。
ワーキングメモリ(作業記憶)とは
ワーキングメモリは、頭の中の「作業台」にたとえられます。目や耳から入ってきた情報を短い時間だけ作業台の上に置いておき、それを並べ替えたり計算したりしながら作業を進めるための仕組みです。
たとえば「23+48」を暗算するとき、23と48という数字を覚えたまま、繰り上がりを処理して答えを組み立てます。この「覚えながら操作する」働きこそがワーキングメモリです。
単なる記憶力との違い
ワーキングメモリは、いわゆる記憶力(覚えたことを長く保持する力)とは役割が異なります。関係を整理すると次のようになります。
- 長期記憶: 知識や思い出を長期間保存する。容量は非常に大きい
- 短期記憶: 入ってきた情報を数十秒ほどそのまま保持する
- ワーキングメモリ: 保持しながら同時に「操作」する。一度に扱える量に限りがある
「逆から言う」とワーキングメモリになる
電話番号を聞いてそのまま復唱するのは短期記憶寄りの働きです。一方、聞いた番号を逆の順番で言うには、覚えておくことと並べ替えることを同時に行う必要があり、ワーキングメモリが強く使われます。
日常でのワーキングメモリの現れ方
ワーキングメモリは、意識されないだけで日常のあらゆる場面で使われています。
- 暗算や、レシピを覚えながらの料理
- 会話で相手の話を覚えたまま、自分の返答を組み立てる
- 文章を読みながら、前の段落の内容を保持しておく
- 複数の作業を切り替えながら進めるマルチタスク
- 口頭で伝えられた指示を覚えたまま作業する
一度に頼まれると混乱するのは自然なこと
一度にたくさんのことを頼まれると混乱しやすいのは、ワーキングメモリの容量に限りがあるためです。程度の差はあれ誰にでも起こる、自然なことです。
負荷を下げる工夫
ワーキングメモリの容量そのものを急に増やすことは難しくても、負荷を外部に逃がす工夫はすぐに実践できます。
- メモやチェックリストに書き出し、頭で覚えておく量を減らす
- 作業はひとつずつ終わらせ、マルチタスクを避ける
- 口頭の指示は復唱して確認し、必要ならその場でメモする
- 睡眠を十分にとる(寝不足は集中や記憶の働きを鈍らせます)
「覚えない仕組み」を作るのがコツ
ポイントは、覚えること自体を頑張るのではなく、覚えなくても済む仕組みを作ることです。覚えておく作業を道具に任せるほど、ワーキングメモリを本来の「考える」作業に使えるようになります。
トレーニングについての考え方
ワーキングメモリを使う課題としては、nバック課題(数字や図形を順番に見て、n個前に出たものと同じかどうかを答える課題)や、数字の逆唱などが知られています。こうした課題を練習すると、その課題自体の成績は上がりやすいと言われます。
一方で、「トレーニングをすればIQ全体が上がる」とまで言えるかについては議論があり、断定はできません。過度な期待を持つよりも、十分な睡眠や負荷を下げる工夫と組み合わせて、頭を使う習慣のひとつとして取り入れるのが現実的です。
自分のワーキングメモリを試してみる
当サイトには、数字や図形の記憶を使った記憶力テストがあります。結果の閲覧まで無料で、正答の状況とあわせて集団内での位置の目安も確認できます。自分の得意・不得意を知るきっかけとして活用してください。
よくある質問
ワーキングメモリと短期記憶はどう違いますか?
短期記憶は情報を短時間そのまま保持する働きで、ワーキングメモリは保持しながら並べ替えや計算などの操作を同時に行う働きです。
ワーキングメモリを鍛えればIQは上がりますか?
nバック課題などの練習でその課題の成績が上がることはありますが、IQ全体が上がると断定できるだけの根拠はありません。誇大な宣伝には注意してください。
物忘れが多いのはワーキングメモリのせいですか?
忘れやすさには睡眠不足やストレスなど多くの要因が関わります。生活に支障が出るほど気になる場合は、医療機関などの専門機関への相談を検討してください。